委員
本日は「山×海対談」ということで、それぞれ山、海の生き物に関する展示を五月祭にて行う、東京大学狩人の会、東京大学農学部水圏生物科学専修の方々に来ていただきました。よろしくお願いします!狩猟と水産、それぞれの魅力
狩人の会
狩猟は人間が山で生きてきた生物だということを一番自覚できる活動だと思います。現在では狩猟をできるのは貴重な機会です。狩猟というのは、ただ単に動物の命を頂くだけではなく、山の環境を五感で感じ取ったり、獲物と心理戦を繰り広げたりすることでもあります。
水族館
哺乳類は学習を行うため個体ごとの知能の差が強いというのは新鮮ですね。魚を獲るうえでは集団を相手にするため、狩猟では個体を相手にするということはとても興味深く感じました。
狩人の会
マグロの養殖が行われているということは全く知りませんでした。
水族館
資源量の減少を食い止めるため、マグロを漁獲している国には漁獲量の制限が課されています。そのため、養殖のマグロで人間の食べる分を補おうと研究が進んできて、現在では完全養殖に成功しているんです。制限によって資源量も回復してきて、近いうちに目標個体数を突破できそうです。標本に関する裏話
委員
展示される標本について、下準備などの裏話を教えてください。
狩人の会
手元に頭骨が2つあるのでお見せしながら紹介します。
水族館
こちらは頭骨とはサイズが全く違いますが、魚の体の筋肉部分を透明にして骨だけを着色した透明標本というものを展示販売します。写真をお見せしますね。
狩人の会
皮を剥ぐのが大変なところは、海でも山でも同じなんですね。イノシシとはまた違う大変さがあると感じました。また、狩人の会も展示物の販売をしています!おそらく東大水族館さんほどお求めやすい値段ではありませんが、過去にはイノシシの頭骨が売れたこともあります。注目してほしいところ
委員
五月祭当日の展示で注目してほしい部分を改めて教えていただきたいです。
狩人の会
展示のメインは骨です。骨を自分で触り観察していると、さまざまな疑問が浮かんでくると思います。その後自分で調べたり、人に聞いたりすることで新たな知識を得ることができます。こうして実物を見て学ぶことで、本の勉強では得られない楽しさを感じられます。また、博物館などでは標本をガラス越しに見ることしかできないことがほとんどで、手にとって観察できる機会は貴重だと思います。さらに、同じ動物の骨を複数並べることでその動物の特徴を見つけやすくしていますので、自分で特徴を発見する楽しさも感じられるかと思います。来場者の方々には、自分で観察して新たな知識を発見する面白さを大事にしてほしいですね。
水族館
水族館というくらいですから、先ほど話した透明標本だけではなく生きた魚も展示します。子どもたちに魚に興味を持ってもらうことに主眼を置いているので、「こんな生き物がいるんだ」と体感して、将来的に水産系に関わってくれる方が出てくれたら嬉しいですね。展示物の周りには説明を書いた紙やプレートを置きますし、疑問があれば水圏生物科学専修の学生が答えます。そういったところで子どもたちに生き物を通した学習をしていただけたらと思っています。山と海、それぞれの自然に触れて
委員
最後に、山と海、それぞれの自然に触れて感じていることを教えてください!
狩人の会
狩猟をしていると、自給自足するということはいかに大変かということを実感し、便利な道具がない昔の人間に対して尊敬の念を抱きます。そういった点で狩猟が好きですね。それだけでなく、狩猟ができるような山、そしてそこに住む動物たちに対して感謝の思いをもつようになりました。
水族館
日本の国土面積はさほど大きいとは言えませんが、排他的経済水域は世界トップクラスの大きさです。そんな海が身近な日本だからこそ、海の中の何万何億何兆という生命にも目を向け、未知の部分に興味をもって考えていただけるようになれば嬉しいです。