本企画は、東京大学教育学部比較教育社会学コース主催のシンポジウムであり、「教育社会学調査実習」の成果を発表するものです。一年をかけて研究と議論を重ねてきた受講者の中から、当日は2名が登壇しその成果を発表します。今年は、中学校における「教師―生徒間のコミュニケーション」や「オンラインの学校外教育」に注目した報告が予定されおり、ゲスト専門家の方にもコメントをしていただきます。来場していただいたみなさんも、学生・ゲストと一体となって議論をしながら、「中学生」を教育社会学の切り口から知るという取り組みが体験できます。
「教育社会学調査実習」とは、比較教育社会学コース3年次の必修科目であり、本コースで20年以上の伝統をもつ授業です。本年度の調査では、都内10校の公立中学校の全生徒約2000人へのアンケート調査を行い、データを収集・分析しました。
本企画が背景としている学問分野は教育社会学です。教育社会学は、誰もが経験している教育を社会的事象とみなし、批判的に捉え直すところに特徴をもちます。教育は誰もが経験しているために何かしらの意見を語ることはできますが、その意見が果たしてどこまで一般的にあてはまるのかは必ずしも定かではありません。本企画では、実際に膨大なデータを用いて計量などの教育社会学の方法論に基づいて実証的に教育を検討する様子をお見せすることで、教育社会学という学問の理解に貢献します。
本企画は、年齢・教育への関心の有無を問わず、すべての方にご覧いただきたいと思っています。例年の傾向から、受験生・保護者・教育社会学への関心のある方が多いと思われます。しかし、調査の対象が中学生であるため、来場者全員が自らの経験に引き付けながら、中学生の「今」を知り、これからの教育を考えるきっかけを与える企画となっています。
比較教育社会学コースは、東京大学教育学部の5つのコースの中の1つで、「教育社会学」「比較教育学」「高等教育論」を主な3つの軸として研究しています。本企画は「比教社」の4年生が「教育社会学」をベースに1年間かけて実施した研究成果を発表します。