第94回五月祭 English

【対談】何が違うの?工学部対談

この特集記事では、工学部の学科による企画のなかから「Techno Factory 2021」(機械工学科・機械情報工学科)、「精密Lab.」(精密工学科)、「近未来体験2021」(電気電子工学科・電子情報工学科)の3つをピックアップし、それぞれの代表者の方に来ていただいて行った対談の模様をお届けします。企画の注目ポイントから工学という学問の魅力まで、存分に語っていただきました。

三者三様、3つの学科

委員
まずは、それぞれの学科について教えてください。
機械・岡田
機械系学科は機械工学科と機械情報工学科に分かれていて、私は機械情報工学科に所属しています。身近なところでは自動車やエンジンなど、大小さまざまな機械を扱っているのが機械系学科の特徴ですね。
精密・大塚
精密⼯学科は時計などの精密機械だけを扱っていると思われがちですが、そういうわけではありません。
精密工学科では、機械工学、情報工学、計測制御などを学んでいて、それらはロボット、医用生体工学、IoTなど多岐にわたって応用されています。
EEIC・海老原
電気電子工学科・電子情報工学科(以下、EEIC)は、電気に関することを幅広く扱う学科です。CPU、半導体、コンピューティング、人工知能など、一つの学科でいろいろなことを扱っています。
委員
お互いの学科に対して抱いている印象はありますか。
機械・岡田
精密工学科は機械を扱う学科のなかでもロボットに関することをやっているという印象です。eeicは内部のシステムをどのように動かすか、というイメージです。
精密・大塚
一口にモノを作ると言っても、eeicはソフト系のことを広くやっていると聞いていますね。
EEIC・阿部
扱っている範囲が違うのかなと思います。EEICは電気に関わることをまとめてやっているイメージですが、機械系学科は実際に動いている機械の方に焦点を当てているという印象です。
EEIC・海老原
精密工学科は何か精密なことをやっているのかなと思っていたのですが、お話を聞いてそれだけではないのかと驚きました。

進学選択の決め手は

委員
皆さんが進学選択でその学科を選んだ理由や、その時に決め手となったことを教えてください。
機械・岡田
前期課程の授業を受けながら、面白そうな学科を探していきました。前期課程で興味を持ったのは認知脳科学の授業だったのですが、一方でプログラミングなどのものづくりにも興味がありました。これを両方深められるので、機械情報工学科にしました。機械情報工学科には、普段の講義で学んだことを生かして学生が思い思いの作品を作る「自主プロ」という演習があります。進学選択ガイダンスでその紹介動画を見て、それが楽しそうだったというのも理由の一つです。精密工学科とも迷いましたが、そのガイダンスが決め手になりました。
精密・大塚
1年生で行った五月祭の展示を見て精密工学科に惹かれました。システム創成学科Bコースや機械工学科とも迷ったのですが、精密工学科は少人数で先生との距離が近いと聞いてこの学科を選びました。
精密・服部
3年生の夏に関係の深い一流企業のインターンに行けるのも、精密工学科の魅力でした。
実は私も、機械工学科に行こうかと悩みました。これはみんな迷うところなんじゃないかと思います。
EEIC・阿部
私はエネルギー問題に関心があるのですが、EEICでは発電から送電、消費にいたるまで幅広く電力に関わる科目が用意されているということを知り、この学科を選びました。
システム創成学科も似たようなことをやっているので迷いましたが、学科のウェブサイトをじっくり読んで、電力に関して一貫した教育を受けられるEEICに決めました。
EEIC・海老原
私は電子工作、回路作りが好きだったんですよね。ものづくりという点では機械工学科とも迷ったのですが、情報系もやりたかったので、電子情報工学科の授業も取れる電子電気工学科に決めました。

社会に活かされる工学、目に見えるやりがい

委員
ずばり、工学の魅力を教えてください。
機械・岡田
「普段学校で学んでいる科学をいかにして社会で活かしていくか」を考えられるところですね。社会との接点を感じやすく、世の中でどういうふうに役に立っているかが見やすい。それがモチベーションになります。
工学には、ぱっと見てその凄さが分かりやすい研究が多いですよね。だから誰でも親しみを持ちやすいんじゃないかと思います。
精密・大塚
実際にモノを作って、それが動く。これが分かりやすくて楽しいです。直接人の役に立つものを作ることができるところも魅力だと思います。
EEIC・阿部
基礎となっている理論からそれが社会にどう活かされるかまでを見ることができるところだと思います。電車に乗るときに使うICカードだったり、電車自体の制御装置だったりと、身の回りにも工学の応用例が数多く存在していますよね。工学的な知識を得ていくことで、これらの仕組みが分かってくるのが面白いです。
EEIC・海老原
学べば学ぶほど、身の回りには知らないことがたくさんあったのだということに気付かされますね。
機械・劉
身の回りのものの原理を自分なりに読み解き、理解することができるのは楽しいですよね。

お互いの企画に対する感想は

委員
それぞれの企画をご覧になって、いかがですか。
EEIC・海老原
分野が似ているだけあって、どこも似たようなことをやっているけれど、それでいてそれぞれの特色が出ていますね。
精密・大塚
機械の方は、モデリングした街のところどころで工学が生きているというのに魅力を感じました。
EEICでやっているAIのカーリングゲームも盛り上がりそうですよね。
機械・岡田
一つ気になったんですけど、AIは何を基準に学習させているんですか?
EEIC・海老原
AI同士を対戦させて強くしているんです。詳しくは当日の解説をぜひご覧ください。

障壁を乗り越えて

委員
コロナ禍という異例の状況下にあって苦労なさった点や、工夫された点をお聞かせください。
機械・岡田
やはり、開催形態がはっきりしないなかで準備をするのは大変でした。人数集めにも苦労しましたね。
委員
企画の一つにあったバーチャルな街の風景は、そのリアルさに驚きました。
機械・岡田
これは多くの学生が共同で開発しているのですが、オンライン上で、会ったことのないメンバーと進めていくのは大変でしたね。
また、オンラインの展示は一方通行になりがちなので、できるだけ参加者とインタラクティブな形を目指して準備してきました。エンジンが動いている様子など、皆さんに「おおっ」と思ってもらえるような動画も充実させたんですよ。
精密・大塚
精密では例年、ピタゴラスイッチをモデルにした「精密スイッチ」を出展していたのですが、今年はそれができない分、代わりの企画を考えるのに苦労しました。オンラインでの人集めや、コミュニケーションの取りづらさも大変でした。今はだんだんと形になってきていますが、協力してくれたみんなに感謝ですね。
精密・服部
私たちもやはり、会ったことのない人と全く新しい企画を考えなければならなかったことが一番大変でしたね。対面授業もほとんどなかったですし......。
精密・大塚
オンラインでも皆さんに参加してもらえるような企画を、と心がけました。また、インタラクティブな試みも多数取り入れたと自負しています。
EEIC・海老原
オンラインならではの障害には私たちも苦しみました。それと、昨年は出展を取りやめてしまったので、例年の様子を知らないまま新しいものを準備しなければならなかったんです。そこでオンラインを十分に活かした、新しい形式を考えました。
今でこそ軌道に乗っていますが、最初は何もない状態で人が集まらず、人が集まらないから何もできませんでした。この負のスパイラルから抜け出すのに時間がかかりました。
EEIC・阿部
直接声をかけて人を集めましたね。
他の皆さんと同様に、一方的なものにならないようにしたというのは工夫した点です。家でも作れる電子回路や家で印刷して遊べるカードゲームなどを用意したのにも、実際のモノに触れてほしいという思いがありました。

どの企画もさまざまな困難を創意工夫で乗り越え、工学の魅力を余すところなく伝える楽しいコンテンツを作りあげたようです。当日はご自宅から街歩きやお絵かきを楽しんだり、ゲームで遊んだりしながらものづくりの醍醐味を存分に味わってみてください!

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